ダイヤモンドの4C
実際には、ダイヤモンドを選ぶ基準として、通常どこでも「4C」が紹介されています。
ダイヤモンドを選ぶときに、「4C」を気にする方は多いのではないでしょうか。
「4C」については、皆さんは良くご存知のことと思いますので、詳しい説明は省略しますが、
「審美眼」との関連について考えてみたいと思います。
カラット
「審美眼」の中の「サイズ」に関連します。
ただし、カラットは大きさではなく、重さを表していることを忘れてはなりません。
例えば、1ctと0.98ctのラウンドブリリアントカットのダイヤモンドでは、直径が約6.51mmと6.47mmになります。
その差は、約30ミクロン。
つまり、見た目にはほとんど変わらないということです。
「サイズ」では、カラットの数値ではなく、見た目の大きさで判定します。
クラリティー
ダイヤモンドの透明度を表すグレードとして、11段階に細かく区分されていますが、Iクラス以外は、10倍の拡大下で判定されます。
つまり、肉眼で見ても分からない領域での分類なのです。
「審美眼」というからには、眼で見て分からなければ意味がありません。
クラリティーと「審美眼」はあまり関係がないといえます。
ただし、「美しさ」を損なうインクルージョンや耐久性に影響の及ぼすキズは、「欠点」になります。
カラー
無色から黄色味を帯びるにつれて、細かく23段階に分類されています。
厳密な光源条件の下で、規定のグレーダーにダイヤモンドを載せ、
フェイスダウン(ダイヤモンドの後ろ側)から見てグレードを決定します。
同条件下でも、フェイスアップ(ダイヤモンドの上側)から見るとダイヤモンドの輝きに邪魔されて、プロでも分からないのです。
こうなると、「審美眼」との関係は薄そうに感じられますが…
もちろん、「色の濃淡」に関係しています。
カット
原石の美しさを引き出すのは人間の研磨技術でしたので、カットは「審美眼」の中では、「美しさ」に関連します。
しかし、日本では、数年前にカットの基準が変わりました。
これまでは、ダイヤモンドを透過する光の反射角等を計算して、
最も輝く理想的なプロポーション(アイデアルプロポーション)を基準にグレードを決定していましたが、アメリカの基準に合わせることになったのです。
アメリカの基準というのは、GIAが長年に渡って収集したダイヤモンドの輝きに関するデータ解析から定められたもので、
詳細な内容については公開されていません。
このようにカットグレードが、時代によって、国によって、変化するということが、
「美しさ」が絶対的なものではないということを良く表していると思います。
ここまでの話をまとめますと、ダイヤモンドの「審美眼」=「4C」ではないことが分かります。
では、「4C」にはどんな意味があるのかというと、「4C」はいずれもダイヤモンド希少性を表しているのです。
目方のあるダイヤモンドを手に入れるためには、大きな原石が必要です。
ダイヤモンドの原石は、大きくなればなるほど出現率が低くなります。
自然が作り出すダイヤモンドには、必ずその生成および成長過程で不純物が内包されます。
その結果、色が付いたり、内包物が観察されるようになります。
不純物が含まれない環境というのは、大変希少になります。
理想的なプロポーションにダイヤモンドをカットしようとすると、完全な形の結晶が必要になります。
完全な形の結晶は希少性が高くなります。つまり、「4C」は「希少性」を表す指標なのです。