「審美眼」では、「美しさ」、「色」、「欠点」、「サイズ」を判定します。
前回は「美しさ」でしたので、今回は「色」「欠点」「サイズ」についてです。
色の濃淡
「色の濃淡」は、色を表現するときに使用する「明度」のことです。これは、同じ色相の中で考えます。
つまり、ダイヤモンドであれば、一般的に黄色の濃淡で、
ピンクやブルーのカラーダイヤモンドであれば、それぞれピンク色と青色の濃淡で考えます。
もちろん、色が付くと光学的な現象は変わってきます。
ブリリアンシーは減少しますが、代わりに色という別の「美」が生まれます。
どの色の濃さに「美」を感じるのかは人によって個人差があると思いますが、
「出現率」や「需要」が変わってくるため、ダイヤモンドの価値に影響を与えます。
欠点
ここまでの2つの項目は、いずれも肉眼で見ての判断でした。
しかし、ぱっと見た目では分からなくても、耐久性に影響を及ぼすようなキズやインクルージョンある場合があります。
これらは、「欠点」となり、ダイヤモンドの価値に影響を与えます。
自然の創るダイヤモンドに完全無欠のものはありえません。
地球の奥深くで結晶する時に、様々な不純物が内包されます。
これは、そのダイヤモンドが結晶する環境や歴史を反映するもので、
「美しさ」や耐久性に影響を与えない限り、天然である証、そのダイヤモンドの個性といえます。
審美眼では、それぞれの内包物やキズを「個性」とするのか、
「欠点」とするのかを判定しなければなりません。
サイズ
「大きい」ということは、「美」を深めます。
サイズによって「美」は異なり、「美」の出し方も異なってきます。
3次元的な光学的現象を楽しむダイヤモンドでは、大きい方がはるかに秀でた資質を持っています。
ダイヤモンドは、大粒になるとエメラルドカットとペアーシェイプが多くなります。
2ct以上になると、ラウンドブリリアントカットは「ブリリアンシー」に偏ってきて、
バランスが悪くなり、エメラルドカットやペアーシェイプの輝きの方が、よりバランスが良く感じられるようになるからです。
また、最近では一般的なブリリアントカット(58面)だけでなく、もっと面数を増やしたダイヤモンドもあります。
面も多ければ輝くかというとそうではありません。
0.01ctでは、ブリリアントカット(58面)よりもシングルカット(18面)の方が強く輝きます。
カルティエやロレックスの腕時計のダイヤモンドは、全てシングルカットです。
ダイヤモンドの「美」を良く理解しているということですね。
このように各々のサイズによって、その輝きを引き出せる最適なカットは異なります。
以上のことを判定すると、ダイヤモンドの品質は、3つに分けられます。
「ジェムクォリティ」は資産性のある領域、ワインに例えるとヴィンテージです。
「ジュエリークォリティ」はジュエリーとして十分な品質。自信を持って身につけられるものです。
「アクセサリークォリティ」は、資産性という観点からみると価値はありません。
しかし、価格もリーズナブルになりますので、普段着感覚で楽しんでいただきたいもの、
ワインに例えると安いテーブルワインになります。
自分の予算と目的に合わせて、選択すると良いでしょう。
以上が、価値のあるダイヤモンドの見分け方・選び方です。
「鑑別眼」を持ったプロが鑑別したダイヤモンドの中から、
「審美眼」でダイヤモンドを3つのグレードに分類することによって、価値のあるダイヤモンドを選ぶことができます。