ダイヤモンドの品質判定
ダイヤモンドの価値は、その「品質」レベルにおける「出現率」と「需要」で決められますと述べました。
「出現率」と「需要」は、いずれも「希少性」に関係します。
「希少性」はその時の時代背景によって移り変わるものですが、「品質」はいつの時代にも不変のものです。
従って、ダイヤモンドの価値を見極めるためには、まず、品質を判定することが重要になります。
ダイヤモンドの品質判定には、「鑑別眼」と「審美眼」が必要です。
ダイヤモンドの鑑別眼
「鑑別」とは、「事実を見分けること」です。
「鑑別眼」では、「宝石種」、「原産地」、「処理の有無とその程度」を判定します。
これらの判定には専門知識と技術が必要となります。
「鑑別」は事実の確認ですので、解答は1つしかありません。
きちんと専門的な勉強をしたプロか、鑑別機関が行っている部分になりますので、ここでは割愛したいと思います。
ただし、現在の日本の鑑別では、「原産地」については、明記していないことが多いのでご注意ください。
現実には、原産地によってダイヤモンドの品質は異なります。
それは、結晶が成長する周囲の環境が異なるからです。
オーストラリア産のダイヤモンドは固いとか、カナダ産のダイヤモンドは透明感が高いとか、
産地による特性の違いを聞いたこともあるのではないでしょうか。
ちなみに、ササビーズやクリスティーズ等の海外のオークションでプレミアのつくダイヤモンドの産地が1つあります。
それはインドのゴルゴンダ地方です。
この地方は、古代より良質のダイヤモンド産地として有名でした。
「コイヌール」や「ホープ」といった歴史的に有名なダイヤモンドは全てここの出身です。
残念ながら、現在は掘りつくされていますので、ゴルゴンダ産のダイヤモンドはこれまでに採掘されたものしか存在しません。
アンティークジュエリーとして、美術館やオークションで見ることができます。
私も以前、このダイヤモンドを見る機会を得たのですが、驚くほどの透明感でした。
他の産地のDカラーと比較してみると、その差は歴然としていました。
このような事実を考慮すると、「原産地」も明確にしなければならなくなります。
日本の市場も少しずつその方向に動いていますので、いずれそのような時代になると思います。
ダイヤモンドの原石は、現在、ダイヤモンド原石の国際認証制度によって、輸出国の発行するキンバリー証明書を添付することが決められています。
原石の段階では、原産地が明らかになっていますので、履歴をたどれば知ることができます。
ダイヤモンドの審美眼
「審美」とは、「美醜を判定すること」です。
「審美眼」では、「美しさ」、「色」、「欠点」、「サイズ」を判定します。
(決定版宝石 品質の見分け方と価値の判断のために)より
この「審美眼」を養うことこそが、価値のあるダイヤモンドを選ぶ上で、最も重要なことです。
「鑑別眼」に関しては、専門知識が必要でしたが、「審美眼」には、難しい理屈は必要ありません。
ただし、「美」に対する基準には個人差があるので、解答は必ずしも一つではなくなります。
それぞれの項目ごとに詳しく解説していきたいと思います。